電子部品の価格を、まだ1件ずつ検索していますか? ネット商社APIとAIで変わる調達業務
お客様と電子部品の調達について話していると、1銭単位で価格を比べて、少しでも安い商社から買うという話をよく聞きます。
4社ほどのネット商社で、部品を一つずつ検索しているという話もありました。ブラウザのタブを20個ほど開いて、各社の価格を見比べているそうです。
しかも、翌日には価格が変わることもあるので、次の日にはまた確認し直すといいます。

毎日の価格確認を、人が各社のサイトを巡回する作業として抱え続けていませんか。お客様から伺ったお話をもとにしたイメージ図です。
こうした話を聞くたびに、同じ検索にこれだけの手間をかけるのは、もったいないと感じます。1銭でも安く買うために、人が何度もサイトを開き、数字を拾っている。その作業自体は、もっと減らせるはずです。
今は、ネット商社の価格や在庫をシステムから取得できるAPIがあります。買いたい部品の型番と数量が決まっていれば、各社の情報を自動で集められます。さらにAIと計算用のプログラムを組み合わせれば、どこから買うと安くなるかを比較するところまで任せられます。
価格が変わるたびに、 人が調べ直す必要はない
購入数量が多ければ、わずかな単価差でも総額は変わります。1銭単位で価格を見ることには、もちろん意味があります。
ただ、価格を確認するたびに型番をコピーし、各社のサイトで検索する必要はあるでしょうか。価格が変わるなら、システムで最新のデータを取り直せばよいはずです。
ネット商社には、部品の価格・在庫データがある。
自社の部品表には、型番と必要数量がある。
その間を、人がコピペでつないでいる。
私が無駄だと感じるのは、このコピペを毎回繰り返すことです。検索に慣れても、部品や比較先が増えれば手間は増えます。決まった型番の価格と在庫を集める作業は、システムに任せたいところです。
ネット商社の価格・在庫は、 APIで取得できる
APIとは、システム同士が情報をやり取りするための窓口です。
ブラウザでは、人が検索欄に型番を入力し、画面に表示された価格を読み取ります。APIでは、プログラムが型番などの検索条件を送り、価格や在庫をデータとして受け取ります。
DigiKey(Digi-Key)、Mouser、Arrowなどが、こうしたAPIを提供しています。
部品表(BOM)とAPIを連携させれば、表にある型番を順に検索して、価格や在庫を取り込めます。複数の商社に対応させると、各社の情報を一つの表に並べて比較できます。

自社のBOMにある型番・必要数量を起点に、各商社から取得した情報を集約し、購入先を比較する業務イメージ。特定サービスの実装画面ではありません。
たとえば、BOMの更新ボタンを押すと、DigiKeyとMouserの価格・在庫が並ぶようにする。翌日に確認するときも、必要数量を変えたときも、更新すれば比較し直せます。
最初に連携の設定や開発は必要ですが、毎日同じ検索と転記をしているなら、自動化を検討する価値はあります。
APIを提供しているネット商社
公式サイトでAPIの提供を案内している主な電子部品商社をまとめました。普段使っている商社があれば、公式資料も確認してみてください。
商社・グループ | 取得できる主な情報 | 公式の案内・資料 |
|---|---|---|
DigiKey (Digi-Key) | 製品情報、価格、数量別単価、在庫 | |
Mouser | 製品情報、数量別単価、在庫状況、MOQ、注文倍数 | |
Arrow | 価格、在庫、リードタイムなど | |
TME | 製品情報、価格、在庫、配送関連情報 | |
Farnell / element14 / Newark | 製品検索、価格、在庫。同一グループの地域別ストアに対応 | |
Avnet | 製品情報、価格・在庫、注文状況など | |
TTI | 製品検索、数量別単価、在庫、リードタイムなど |
APIの案内や仕様は公開されていますが、利用にはアカウント登録やAPIキーの取得、申請などが必要です。取得できる情報は、対象地域や取引口座、APIの種類によって異なります。Avnetのリンクは米州・EMEA向けの案内です。
単価だけでなく、送料を含めた総額で比べる
部品ごとに最も安い商社を選んでも、送料が増えれば、一社にまとめたほうが安くなることがあります。
たとえば、LM358DRを100個、NE555Pを250個、DigiKeyとMouserから購入する例を考えてみます。2社に分けると部品代は31円安くなりますが、送料が2,000円かかります。
購入方法 | 部品代 | 送料 | 合計 |
|---|---|---|---|
部品ごとの安い商社に分ける | 14,449円 | 2,000円 | 16,449円 |
DigiKeyにまとめる | 14,643円 | 0円 | 14,643円 |
Mouserにまとめる | 14,480円 | 0円 | 14,480円 |

部品代が31円安くても、送料が2,000円増えると総額は高くなります。
この例では、Mouser1社で買うほうが1,969円安くなります。安く買うには、単価を比べるだけでなく、どの部品をどの商社にまとめて注文するかまで考える必要があります。
※金額は税抜きの比較例です。実際の価格・送料は注文条件によって変わります。
集めた価格データをもとに、AIに購入案を考えてもらう
2品種なら、先ほどのように表に並べて比べられます。けれど、部品が数十種類に増えれば、どの商社に何をまとめるか、その組み合わせを一つずつ確かめるのは大変です。
そこで、APIで集めた価格データと送料条件をAIに渡し、「必要な部品を送料込みで安く買える組み合わせを考えて」と頼みます。人は、提案された購入先と金額の根拠を確認して、どこから買うかを判断します。
具体的にどんな案が返ってくるのか、先ほどの2品種でChatGPT Proを試してみました。数量と各社の価格、送料条件を渡し、最安の商社は伝えずに3通りの購入案を比べてもらいました。

入力した価格・送料条件に基づく比較であり、APIによる価格取得の実演ではありません。
回答は「Mouserにまとめると14,480円で、この3案では最安」でした。分けて買うより1,969円、DigiKeyにまとめるより163円安いことに加え、その理由も説明されています。計算結果は先ほどの表と一致しました。
今回は価格データを手入力しましたが、APIから取得したデータを渡せば、比較のたびに数字を貼り付ける手間も省けます。
スマートAI調達なら、ワンクリックで各社の価格をまとめて取得
私たちが開発しているスマートAI調達では、この価格収集をすでにまとめて行えます。BOMにある型番と数量をもとに、連携設定を済ませたすべてのネット商社の価格・在庫を、ワンクリックで取得できます。
ネット商社ごとのサイトで型番を検索し、結果を転記する必要はありません。取得した価格と在庫を横並びで確認し、購入先を比較できます。

利用には対象商社の連携設定が必要です。商社によって、APIやブラウザ拡張機能など取得方法が異なります。
1銭の差を追うなら、 比較にかかる手間も減らしたい
少数の部品を一度だけ買うなら、ブラウザで調べるのは手軽です。ただ、BOMに並ぶ部品を何社も比較し、それを毎日繰り返すとなると、検索だけでかなりの手間がかかります。
ネット商社の価格と在庫は、APIで集めます。そのデータをもとに、送料も含めてどの商社から何個買うと安くなるかを、AIに考えてもらう。担当者は、提示された購入案と金額の根拠を見て、どこから買うかを判断します。翌日に価格が変わったら、データを更新して、もう一度購入案を出してもらえばいいのです。
1銭でも安く買いたいという目的は、そのままでいいと思います。そのために20個のタブを開き、毎日同じ検索をする必要はありません。APIで情報を集め、AIに購入案を考えてもらい、最後は人が判断する。私は、ネット商社を使う調達を、こういう形に変えていきたいと考えています。
電子部品調達の価格・在庫確認や見積比較を効率化したい方は、お気軽にご相談ください。
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